不正咬合とは
不正咬合(ふせいこうごう)と矯正治療
ここでは、不正咬合にはどのような種類があるのかについてご説明したいと思います。また、どのような不正咬合の場合に矯正治療が必要なのかについて考えてみたいと思います。
まず大きく分類してみましょう。かみ合わせの前後的な種類として、(I)受け口(下顎前突:かがくぜんとつ、反対咬合)、(II)標準的な咬み合わせと(III)出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)の3タイプに分類されます。上下的な種類として、(I)咬み合わせが深い(過蓋咬合:かがいこうごう、Deepbite)、(II)標準的な咬み合わせ、(III)咬み合わせが浅い(開咬:かいこう、Openbite)の3タイプに分類されます。これらの3タイプ×3タイプにより、9つの咬み合わせが存在します(図1-1)。
これらの9つの咬み合わせの修飾因子として、凸凹歯(叢生:そうせい、乱杭歯:らんぐいば、Crowdingと呼ばれる)、正中離開、翼状捻転、埋伏、非対称などがあげられます。
それでは実際に、図1-2を見ながら不正咬合の細かい説明をしていきたいと思います。
図1-2
図1-1, 2の見方として、横軸は、咬み合わせの前後的な種類を示していて、左にいくと上顎前突(出っ歯)、右にいくと下顎前突(受け口、反対咬合)を示します。真ん中は、前後的に問題がない咬み合わせを示しています。
縦軸は、咬み合せの上下的な種類を示していて、上にいくと過蓋咬合(咬み合わせが深い)を示し、下にいくと開咬(咬み合わさらない)を示します。やはり、真ん中は上下的に問題がない咬み合わせ(Average)を示します。
前後的にも上下的にも問題のない咬み合わせ(ClassI:専門用語)は、図1-1,2の中央(5)番ということになります。
図1に示すそれぞれのかみ合わせの詳細は、
(1)出っ歯で咬み合わせが深い(ClassII+Deepbite)
(2)前後的には問題ないが咬み合わせが深い(ClassI+Deepbite)
(3)受け口で咬み合わせが深い(ClassIII+Deepbite)
(4)上下的には問題がないが出っ歯(ClassII)
(5)上下的にも前後的にも問題がない(ClassI)
(6)上下的には問題がないが受け口(ClassIII)
(7)出っ歯で咬み合わせが浅い(ClassII+Openbite)
(8)前後的には問題がないが咬み合わせが浅い(ClassI+Openbite)
(9)受け口で咬み合わせが浅い(ClassIII+Openbite)
()内は専門用語です。
しかし、これら9つの咬み合わせに修飾因子である叢生(乱杭歯、Crowding)などが加わることで、さらにバリエーションが増えることになります。正常咬合(咬み合わせに問題がない)は、この9つの咬み合わせの中央に位置することになりますが、中央であっても修飾因子である叢生などが加われば、不正咬合に位置することになります。
上記で大きく分類した9型分類(9タイプの分類)には程度問題があります。つまり、各分類には軽度の不正咬合から重度の不正咬合まで、重症度が存在すると言うことです。重度の不正咬合とは、どのようなものを指すのでしょうか?それには、骨格的な問題が大きく関与しています。不正咬合の原因が、上あご(上顎骨)と下あご(下顎骨)の骨格的な問題よって生じている場合に、重度の不正咬合が生じることになります。上顎骨と下顎骨の前後的・上下的問題の他に、左右的問題、すなわち、顎骨の横ずれによって顔のゆがみ(非対称)が生じることがあります。
矯正治療の時期については、矯正治療のガイドラインを参照してください。