仙台青葉クリニック

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デンタルコラム

07 子供の治療(後)

第3のキーワードは「治療時期の分割」でである.特に,下顎前突のように骨格に問題があるような場合には,思春期前に行う「第1期治療」と思春期後の「第2期治療」に分割して行うことが重要だ.これは,①著しい個体差があり,かつ予測が難しい「顔の成長」に確実に対応する,②患者さんの最小の負担(時間的,経済的,身体的)で,最大の効果を得る,③患者さんのライフステージを考慮して,長期維持が可能な健全なかみ合わせを育てる,という考え方に基づいている.

「第1期治療」の開始時期は,一般的には上下前歯の永久歯が四本ずつ出そろう頃(7〜9歳ごろ)が適切だ.その目的は,不正咬合の進行を抑え,その成長段階での健常像にできるだけ近づけておくことである.治療期間は1年前後を目安にするが,遅くとも中学生になる前に終了することが望ましい.「第1期治療」の注意点は,患者さん自らの意志によって始める治療ではなく,ほとんどが親の動機づけでなされることだ.したがって,「長期管理」によって最終目標を達成するためには,治療に飽きたり,嫌気がさすことがないように注意が必要だ.

「第1期治療」後は,再発を防ぐ処置を施しながら,数カ月の通院間隔で口の衛生状態や成長の様子を見るための「観察」を続ける.そうすることによって良いかみ合わせが長く維持されることが理想的である.私自身は,中学生の時期はできるだけ矯正治療を避け,「観察」にあてたいと考えている.一般的に,中学生は「ムカつく」「キレる」という言葉に象徴されるように,思春期に入って自我に目覚め,かつ高校受験という重圧のもとに置かれる大変な年代である.当然,治療への協力度も低下する.加えて,食べ盛りであるため,頻繁な摂食によって口の衛生状態が悪化するなど,矯正治療を行うにはリスクが高すぎるからだ.しかし,不正咬合のタイプによってはこの時期の旺盛なアゴの成長をうまく利用したい場合もあるので,実際には専門医によるケースバイケースの最終判断が必要だ.

一方,「観察」の間に不正咬合が再発したり,新たな問題が派生する場合もある.「第2期治療」は,そのような患者さんに対する仕上げの治療に相当する.開始時期は「顔の成長」の見きわめがつき,自分で治療の意義や必要性を十分に理解できるようになる高校生以降が望ましいが,不正咬合のタイプや成長などの個体差によって多少変動する.「第1期治療」と同様に1〜2年の治療期間が必要となる.この「第2期治療」が終われば,機能的なかみ合わせや整った口元などの条件を兼ね備えた20歳のゴールは目の前だ.

河北新報「みんなの健康」新時代の矯正歯科 1999年1月〜5月(15回連載)

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