仙台青葉クリニック

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デンタルコラム

06 子供の治療(前)

「子供の矯正治療」の開始時期や方法をめぐって,一部論争が続いており,必ずしも共通認識が得られているわけではないが,ここでは,基本的な考え方について述べる.

「子供の矯正治療」に関する第1のキーワードは「顔の成長」である.人の顔は,皮膚や筋肉などの軟らかい組織と,骨や歯などの硬い組織によって構成されている.矯正歯科においては,顔面骨格を構成する上で主役を演じている顎骨(がっこつ)がとくに重要だ.顎骨には,頭蓋骨にしっかりと結合している上顎骨(上アゴ),そして,筋肉などによってつり上げられていて様々な機能運動をつかさどる下顎骨(下アゴ)がある.これらは,身長などの全身成長と同様に,思春期に著しい成長をとげて大人の顔に近づく.しかし,問題は上顎骨と下顎骨の成長の仕方が異なることと,これらの成長に著しい個体差があることだ.一般的に,上顎骨は思春期のピーク(身長が最も伸びる頃,女子で11〜12歳,男子で13〜14歳)を過ぎると成長がほぼ止まるのに対して,下顎骨はその後も成長を続け,女子で16〜17歳,男子で18〜19歳でほぼ終了する.しかし,患者さんの中には早熟傾向(成長のピークが早い)や逆に晩熟傾向(成長のピークが遅い)を示す子もいるし,顎骨が異常な成長を示す子もいるなど個体差が著しい.不正咬合が顎骨のバランスに左右されることはすでに述べたが,「子供の矯正治療」の難しい点は,このように個体差の著しい「顔の成長」を分析し,予測しながら治療を進めなければいけないところにある.一旦良くなったと思った不正咬合が,その後の顎骨の成長で再発することが珍しくないからだ.

第2のキーワードは「長期管理」である.矯正治療の結果は,厳密には「顔の成長」が止まるまで分からないというのは,矯正歯科の常識だ.そもそも顎骨のバランスに問題のある患者さんはもとより,そうでない場合でも,成長に伴って不測の事態が発生することが少なくないからだ.例えば,第二大臼歯が思わぬ方向に出てきたり,智歯(第三大臼歯)がせっかく整った歯列をくずし,口やアゴの機能にまで悪影響を及ぼすこともあるからだ.そのようなことを考慮し,私たちは,すべての患者さんと20歳までお付き合いをし,20歳の時点で,健全なかみ合わせを生涯を通して維持できる環境が備わるように対応したいと考えている.患者さんおよび親御さんとの信頼関係に基づいた長いお付き合いのことを「長期管理」と呼んでいる.

河北新報「みんなの健康」新時代の矯正歯科 1999年1月〜5月(15回連載)

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